新課程入試となり初回の共通テストとなった今年度の問題。昨年までと試験時間は変わらず、問題の分量についても昨年と同程度であるが、解法の流れは従来の問題と比較するとあまり見かけないものが多い。誘導は丁寧に与えられているので、問題の流れに従って正しく計算できれば高得点が狙えるが、応用力も必要であるため、流れをつかめず苦戦した受験生も多かったものと見られる。
数学ⅡBCも含めて、問題文の誘導から解き方の方針を把握する読解力と、それに合わせて最適な計算を選択する思考力が結果を大きくする左右するような問題になっている。複数正解で初めて得点が与えられる配点方式が例年より増えていることも特徴的であり、年数を重ねる毎に難しくなっている点は否めない。
第1問
[1] 数と式、集合と命題からの出題。与えられた文字の値から方程式の解を求め、必要条件・十分条件の判定を行う問題である。基本的な問題であり、ミスせずに着実に得点しておきたい。
[2] は図形と計量からの出題。(1)は丁寧な誘導が与えられているが、(2)は(1)の解き方を参考に自分で値を求める必要がある。配点も20点と大きく、差がついたことが予想される。
第2問
[1] 噴水を放物線に見立てて二次関数の式を決定する問題。通る点の座標を用いて適切な立式を行えば良いが、計算ミスを誘うような問題であり、正確に処理する必要がある。
[2] データの分析からの出題。2種類のデータの分散と共分散や、2種類を合計した値の分散について、計算過程を参考に関係式を考察する問題も出題されている。外れ値、仮設検定の問題が新たに加わったが、いずれも典型的なものであり、教科書傍用問題などで訓練しておけば対応できる。
第3問
図形の性質。空間図形を主題とする問題であるが、過去の共通テストやセンター試験まで遡ってもあまり出題事例がない。よく用いられるチェバ・メネラウスの定理を利用する問題がなく、三角形の相似比や方べきの定理を利用する。空間図形における直線や平面の位置関係の真偽を判定する出題も見られた。空間図形については、自分で図を描いて式を立てるという工夫が第一歩であり、日頃から練習しておきたい。
第4問
場合の数と確率。新課程で追加された期待値に関する出題もあった。くじの本数が不明なまま、1回目に当たりくじを引く確率、1回目にはずれて2回目に当たりくじを引く確率などが与えられ、その確率をもとに期待値の計算に用いる確率を求めるというあまり見かけない問題。事象を正しく把握する必要があり、難しさを感じた受験生も多かっただろう。この問題を間違えると、後に続く期待値の計算が合わなくなることも厄介である。
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