例年の傾向と出題単元が異なっていたり、見慣れない式がテーマとなった出題があったりと見かけで戸惑わせるような問題が多いが、動揺せずに落ち着いて1つ1つの設問を解いていけばある程度の得点が取れるよう基本問題もバランス良く配置されている。
単なる計算だけに頼らずに基本事項に対する理解を深め、定理を用いた論証やグラフの対称性の利用など様々な視点からのアプローチが高得点の鍵となる。
第1問[1]指数関数・対数関数からの出題。前半は対数関数のグラフとその位置関係を問う基本問題であり、後半は対数で表された方程式・不等式の表す領域に関する問題。普段からの練習を通して正確な処理力を身に着けておきたい。
[2]複素数と方程式からの出題。例年の三角関数と異なった出題であり、面食らった受験生も多かったものと思われる。基礎知識を問うものに始まり、適切な選択肢を選んで考察する段階を踏まえた論証問題がメインテーマとなっており、差がつく問題になっている。
第2問 微分積分。(1)は関数の増減に関する基本問題。微分積分の性質や基本事項に対する十分な理解が備わっていると短時間で解答できる。(2)は面積の関係から正しいグラフを選択する問題であり、(3)は定積分の関係式についての問題。誘導に従い、グラフの特徴を利用しながら式変形できたかどうかが大きな分岐点となる。
第4問 数列。漸化式に関する出題。(1)と(2)は典型的な基本問題だが、(3)では見慣れない漸化式が主題となっている。ただし難しい設問はそれほど多くなく、与えられた漸化式に適切な値を用いて計算すれば十分に得点が取れる。数学的帰納法に対する理解力を問う出題も見られた。
第5問 ベクトル。座標空間内の直線上の点に関する問題。大きさが最小となるときの位置を調べる問題であるが計算量は多くないため、問題慣れしていれば満点も可能。
Comments